編集者が漫画家にガッカリした瞬間を語り物議 有名漫画家も反応&SNSでは「言葉のチョイスが下手」
Thursday 16:13
漫画を描くうえで欠かせない職業といえば編集者です。
漫画編集者の仕事は、締切りに間に合うように原稿を上げてもらうだけでなく、ネームの打合せや資料収集、原稿チェックや改善要望など様々。
そんな、とある漫画編集者の方による漫画家にガッカリした瞬間がTwitterで物議を醸しており、有名漫画家も反応しています。
Point
- 担当編集が漫画家にガッカリする瞬間とは?
村田雄介先生ら漫画家も反応
漫画編集者が漫画家にガッカリした瞬間とは?Twitterで物議を醸す
(これってめちゃ「はあ?」と思われることなんじゃ?と思いながら書いているのですが)例えば、作家さんとネームの打ち合わせをしていて「こう直した方がいいんじゃない?」と僕が提案したとします。後日その作家さんから僕が言った通りに直しただけのネームをもらうとですね、…ガッカリするんです。
— 担当J(治部) (@tantoJ_margaret) January 17, 2023
集英社マーガレット編集部の編集者が、作家とネームの打ち合わせをして「こう直した方がいいんじゃない?」と提案し、後日その作家が言った通りに直しただけのネームを持ってくるとガッカリすると綴りました。
一見すると「言われた通りに直してるのになぜ?」と思っちゃいますよね。編集者はその理由を続けました。
改善要望に従うだけだとガッカリする理由は?
だって考えてもみてください。例えば、「早く結婚しなよ」と言われたとして、自分にその気なかったら、たとえ信頼してる人に言われたとしても「はあ?」って思うでしょう? じゃあ、なんで自分が描いた漫画の登場人物に対して、他人から「〇〇しなよ」と言われたら、その通りにするのかって話ですよ。
— 担当J(治部) (@tantoJ_margaret) January 17, 2023
自分が書いた漫画を、そのキャラクターを一番よく知っているのは、自分自身です。編集者じゃありません。我々編集者は、「こうしたらいいんじゃない?」と外野から言っているに過ぎないんです。だからこそ、客観的にものが言えるのだし、強いことも言えるし、我々編集者がいる意味もあるんです。
— 担当J(治部) (@tantoJ_margaret) January 17, 2023
編集者は編集者なりに、そのネームにとって一番いい方法は何かを探して提案します。でもそれは、そのネームの登場人物からすると、トンチンカンな方法だったりするんですよね。編集が言った通りに直されたネームって、往々にして、その直した部分だけキャラクターの言動が変だったりします。
— 担当J(治部) (@tantoJ_margaret) January 17, 2023
だから、作者は編集者が出した提案(=無理難題とも言う)を、キャラクターの側から考えるということが必要なんだと思います。時には、「その提案は採用しません!」と突っぱねることも、言われたことと全然違う方法でネームを直すことも必要です。
— 担当J(治部) (@tantoJ_margaret) January 17, 2023
ネームを編集者と作るというのは、外側からの目(=編集者)と内側からの目(=作者)をぶつけ合うことなんだと思います。
— 担当J(治部) (@tantoJ_margaret) January 17, 2023
…っていう考えになったのは、たぶん、今まで担当してきた作家さんの影響が大きいかもしれません。いい展開のアイデアが思いついて提案したら、「悔しいから使わない!」なんて人もいるし。でも、そうやって意地を張りながら競り合ううちに、どんどん作品が磨かれていくんじゃないかと思うんですよね。
— 担当J(治部) (@tantoJ_margaret) January 17, 2023
編集者は6つのリプライという大ボリュームで、改善要望に従うだけだとなぜガッカリするのかを綴りました。
改善要望に従っただけだとガッカリする主な理由
・他人から「〇〇しなよ」と言われたら、その通りにするのか
・自分が書いた漫画・キャラクターを一番よく知っているのは漫画家自身
・編集が言った通りに直したネームは、その直した部分だけキャラクターの言動が変だったりする
・ネームを編集者と作るというのは、外側からの目(=編集者)と内側からの目(=作者)をぶつけ合うこと
熱い漫画論を語った最後には、編集と漫画家のぶつかり合いがあるからこそ「どんどん作品が磨かれていくんじゃないかと思うんですよね」と締めくくっています。
漫画家たちも反応
本投稿を見たと思われる、漫画家の村田雄介先生・あかざわRED先生・遠藤海成先生らも編集の考えについてツイートしました。
村田雄介先生
僕の初代担当の嶋さんは、最初の打ち合わせで「僕はネームに対して色々意見を言いますがその通りには直さないでください。才能ある作家さんは皆僕の意見より面白く直して持ってきます。これを常に念頭に置いてください。」言ってくれました。僕の考えうる限りベストな助言だったと思っています。
— 村田雄介 (@NEBU_KURO) January 19, 2023
作家さんにその一言さえあれば、良いスタンスなんじゃないかなあと。僕的には。(何か見た)
— 村田雄介 (@NEBU_KURO) January 19, 2023
村田先生は、初代担当との最初の打ち合わせで「僕はネームに対して色々意見を言いますがその通りには直さないでください。才能ある作家さんは皆僕の意見より面白く直して持ってきます。これを常に念頭に置いてください」と言われたそうです。
さらに続けて、「作家さんにその一言さえあれば、良いスタンスなんじゃないかなあと」と、言い方にさえ気をつければ良いスタンスだと語りました。
あかざわRED先生
LOはいい担当さんと編集長がいらっしゃるので商業でロリ漫画描きたい人には強くお勧めします。打ち合わせのキスシーンで「これ前歯って表現するより乳歯にセリフ変えたら良くないですか?」の言葉は己の底の浅さを痛感しました
— あかざわRED🍆ぼうけんのしょ9制作中 (@akazawared) January 18, 2023
あかざわ先生はCOMICエルオーは良い担当と編集長がいると語り、素晴らしい改善案を頂いた過去を振り返りました。
そのアドバイスを受け、担当の一言が大事だと実感したそうです。
遠藤海成先生
昔の担当編集さんが、「持ち込みの新人を泣かせるのが趣味」と公言してたの思い出しちゃった。「ここは何故こう描いたの?このシーンの意図は?」って事を隅々から突っ込んでいくと答えられなくなってしまいには泣いてしまうと。それが楽しいと。
あの人何を思ってわたしにそんな話したんだろ。— 遠藤海成 (@minakichijapon) January 18, 2023
そういったツッコミにはもちろん答えられるべきではあるんだけど、意識せず描いた部分だったりすると『何故そうしたのか』を考える時間って必要になるじゃん?
そこを強い口調で責められたり嘲笑されたりすればそりゃ混乱して言葉が出なくもなるよね。— 遠藤海成 (@minakichijapon) January 18, 2023
罵詈雑言で埋まったファンレター(正確にはファンレターではなかった)を内容を知らずに編集部で読まされて、受け止めきれずに呆然としてたら
「そういう意見もあると勉強してもえたら良いと思って」と口元に微笑を浮かべて言われたよ。
って話を以前ツイートした事があるけどこの編集と同一人物だよ。— 遠藤海成 (@minakichijapon) January 18, 2023
遠藤先生は「持ち込みの新人を泣かせるのが趣味」と言っていた担当のことを思い出したと投稿。
さらに、罵詈雑言で埋まったファンレターを読まされて、「そういう意見もあると勉強してもえたら良いと思って」と言われたことがあると、辛い過去も暴露しています。
猫田ゆかり先生
この方は違うんだろうけど、編集さんによっては言った通りに修正しないと絶対通してくれない人もいるんですよね
察して欲しいんだろうけど、ちゃんと「自分の修正案より面白いアイデアがあったらどんどん出して下さいね!作家さんの方が面白いアイデア思いつくはずだから!」って言えば解決では? https://t.co/8OFaht4iI4— 猫田ゆかり「ニッターズハイ!」②巻発売中🧶 (@nekotayukari) January 18, 2023
猫田ゆかり先生は「編集さんによっては言った通りに修正しないと絶対通してくれない人もいるんですよね」と語りました。
また、「察しろ」ではなく「具体的な意見」を言ってくれれば解決するという提案も。
ごく一部の意見ですが、担当編集の一言で作品が大きく左右することがわかりましたね。
SNSの反応は?
漫画編集者の投稿に対しTwitterでは、「それは強欲云々ではなくただの対話不足のように感じられます」「編集者側が言い方変えたらいいんじゃないかなと思いました」「言葉のチョイスが下手すぎる」といった意見が寄せられました。
村田先生や猫田先生のように、言い方に気をつければ納得はできるという方もいるようです。
一方で、「自分の指摘が的確ではなかったという発想じゃなく、漫画家を批判してるのが凄いね」「上司が部下をつぶすようなやり方だから止めろって言われる典型例」など、自分の言動に気を付けてほしいという厳しい声も寄せられていましたよ。
どんな仕事でも他人に指示を出す時は、「あなたが察して」という気持ちを持たずに、より具体的に言葉にすることが大事ということを胸に留めておきましょう。