人と共有して共に楽しむのが“布教”のモチベ?Z世代のヲタ活事情が明らかに!
Sunday 17:00
若者マーケティング研究機関「SHIBUYA109 lab.」が、15〜24歳(around20/Z世代)を対象に行った、「コロナ禍におけるZ世代のヲタ活実態調査」の結果が発表されました!
約75%がオタクだと自覚している若者世代は、コロナ禍でどのようにオタ活を楽しんでいるのでしょうか?
Point
- 若い世代のオタ活事情が丸裸!
Z世代は他者への貢献意識が強い?
出会い系=恋人✕ ヲタ友○
オタク・オタ活の定義
本調査において、「オタ活」とはオタクを「ファンであること」や「お金や時間をたくさん費やしているもの」として定義。
「オタ活」はその活動全般を指します。
「オタ」とは、「ファン」や「お金や時間をたくさん費やしているもの」を指します。
【1】Z世代の75%がオタを自覚!コロナ禍でさらに増すオタ活への熱量
Q.あなたは、自分が「●●オタ」と言えるものはありますか?
調査の結果、75.5%の人が「ある」と回答し、何かしらのオタであると自覚していることが明らかになりました。
Z世代の大半がオタであることを自覚していますが、推し(自分の一推しの人、応援している対象)とのリアルでの接触が制限されるコロナ禍では、時間やお金のかけ方、熱量には変化があったのでしょうか。
Q.あなたはコロナ禍の前と後で、オタ活に対する時間やお金のかけ方、熱量は変わりましたか。
時間とお金に関しては80%以上が増えたもしくは変わらないと回答、熱量は約90%が増えたもしくは変わらないと回答し、コロナ禍でもオタ活の熱を感じる結果となりました。
グループインタビューでは、「コロナ禍でお金が浮き、今まで買えていなかったグッズを買っている。」、「推しからのコンテンツ発信(動画配信やオンラインイベントなど)が多く、熱量も高くなっている。」などの声が聞かれました。
一方、「コロナ禍によりライブがなくなり、推しの活動も少なくなってしまったのでお金や時間をかけられていない。」といった声もあり、コロナ禍での推しのオンライン上での活動状況が、熱量にも影響していることがうかがえます。
【2】「オフィシャルオタ活」と「創作オタ活」の二軸で楽しむ
Q.あなたが現在行っているオタ活を教えてください。
彼女たちのオタ活は「オフィシャルオタ活」と「創作オタ活」の2つの楽しみ方が見られています。
「オフィシャルオタ活」は、推しから提供される“公式のオタ活”を指しており、「公式グッズを買う」、「CDやDVDを買う」など、半数以上の人が実施しており、オタ活の主軸であることが分かります。
グループインタビューで「オフィシャルオタ活」のモチベーションを聞いてみたところ、「推しの直接的な応援・支援に繋がるので、なるべく公式グッズの購入にお金をかけたい。」といった声が聞かれました。
一方「創作オタ活」とは、公式の場とは少し離れた場所で、“オタ活を起点にして自主的に遊びに行ったり、オリジナルのグッズを作る活動”を指します。
「推しグッズを持ってカフェに行く」、「撮影などで使われた場所に行く」に加え、「ホテルで鑑賞会や撮影などのオタ活を行う」など、コロナ禍ならではの楽しみ方も見られています。
コロナ禍でおうち時間が増えた影響により活発化している「創作オタ活」の中のひとつが“手作りオタグッズ”の制作です。
手作りオタグッズの経験については、30.6%の人が「ある」と回答しました。
Q.あなたはコロナ禍のおうち時間で、手作りしたオタグッズはありますか。
Q.あなたがコロナ禍のおうち時間で、手作りしたオタグッズを教えてください。
手作りしたオタグッズを聞いたところ、1位「ネットプリント(ネップリ)」、2位「うちわ」、3位「トレーディングカード(トレカ)」となりました。
また、今年ならではのトレンドとして、「推しグラス」、「推しゴーグル」もSNS上で盛り上がりを見せており、自分の推しの名前を使った手作りグッズが増えています。
これらの手作りグッズはInstagramを中心としたSNSに投稿されている作り方の解説を参考に実践しています。
コロナ前はオタ活界隈ごとにオタ活トレンドが分かれており、特徴が際立っていましたが、コロナ禍により活動範囲や情報源の制限を受けたことで、その特徴は希薄化していると分析しています。
【3】SNS投稿のモチベーションは「応援」「布教」「オタ友作り」
コロナ禍でも活発にオタ活を楽しんでいるZ世代ですが、その活動に欠かせないのがSNSです。
SNSでのオタ活に関する投稿状況について聞いたところ、6割以上が投稿しており、週に4~5日以上投稿する人が10%以上となりました。
図6 Q.あなたはオタ活をSNSで投稿していますか。
グループインタビューでは、「推しのアクリルスタンドとお出かけして、カフェで写真を撮ったり、手作りグッズを撮ったりした写真をSNSに投稿している。」、「顔写真メインのアカウントとモノトーンで統一したアカウントなど、テイストによってオタ活用のアカウントを分けている。」といった実態も聞かれ、オタ活もSNSを起点とした行動も多く見られました。
図7 Q.あなたは何の目的でSNSにオタ活を投稿していますか。
SNSに投稿する理由を聞いたところ、「推しを応援したいから」、「オタ活の記録を残したいから」、「推しの魅力を多くの人に伝えたいから」という結果となり、「オタ友を作りたいから」も特徴的な結果となりました。
この回答から、Z世代がオタ活についてSNSに投稿するモチベーションとして「応援」「布教」「オタ友作り」の3つの要素があることが分かります。
①応援:貢献意識の高いZ世代は「応援すること」がモチベーション
Z世代は他者への貢献意識が強いことから、消費価値観のひとつとして、共感する人やものを応援することに対して時間とお金を使いたいという「応援消費」の傾向があります。
オタ活は彼らのこの価値観を象徴する実態となっています。
②布教:「推しを多くの人に広めたい」オタ活の最終形態「布教活動」
グループインタビューも「布教活動」について多く話があがっており、「ステマシート(推しの好きなところや魅力等を解説するオリジナル画像)を作って、SNSに投稿している。
「友達が投稿していたステマシートから新たに推しを見つけ、ハマった。」、「コロナ禍になって、友達に勧められて新たにオタ活を始めた。推しが増えてお金や時間の使い方に困っているけど楽しい。」といった声が聞かれました。
多くのZ世代が取り組んでいるオタ活はコミュニケーションツールとしても機能しており、コロナ禍によってリアルな日常生活の中で話のネタが作りにくい状況も影響し、布教活動が活発化していることも考えられます。
③オタ友作り:健全な出会い系!?Instagramのライブ配信でオタ友と繋がる。コミュニティを結成して推しを応援
SNSネイティブのZ世代は、オタ友作りもSNS上で活発に行っています。
実際にオタ活を一緒に楽しんでいる相手を聞いたところ、「学校やアルバイト先の友達」に次いで「SNSで知り合った友達」がランクインする結果となりました。
図8 Q.あなたがオタ活を一緒に楽しんでいる人を教えてください。
SNSでオタ友を作る流れ
グループインタビューを通して、SNSでオタ友を作る流れについて実態が判明しました。
・「SNS上でオタ友と繋がるために、自身の推し特有のハッシュタグを付けて検索している。そこからオタ友を作っている。」
・「オタ友の間では“健全な出会い系”と称して、Instagramでライブ配信を行っている。
もともと友達同士でオタ活の話をして、視聴している人たちともコメントなどで交流して友達が出来る。
自分が出ない時も、仲良くなりたいオタアカウントのInstagramライブ配信を見て、コメントして繋がるきっかけを作っている。」
この流れはオタ活に限らず、Z世代が友達を作る流れと同様です。
また、オタ友作りだけでなく、オタが集うSNS上でのコミュニティ形成も活発化しております。
特に近年盛り上がりを見せているオーディション番組において、推しのデビューを支えるべく、熱狂的なオタが集まる団体として「ファンダム」が結成されるなど、オタが結束している実態があるようです。
実際にみんなのオタ活を共有するSNSアカウントを運営するZ世代に、アカウント運営を始めた経緯を聞いてみると、以下の要はな話を聞くことができました。
①大好きなアーティストが活動休止を発表し、オタの愛や想いを残せる場所を作りたいと思った。
②寂しくなった時にいつでもオタに会える場所を作りたい。
③アーティストに対する想いを共有できる場所がほしい。と思い、アカウントを立ち上げた。
④SNSで様々な方法でオタ活をしていることを知り、このアカウントでオタ活の楽しみ方を共有することで、誰かのオタ活の参考になり、より自分のオタ活も盛り上げられたらいいなと思った。
アカウントを中心にオタ活コミュニティを形成し、同じコンテンツを共有する人たちと楽しみ方を共創していきたい、というモチベーションがうかがえます。
【4】所長が分析!推しを編集し布教する―「推しを中心に共感コミュニティを構築したい」がモチベーション
Z世代のオタ活実態に見られる「布教」は、自身が考える推しの魅力を一人で楽しむのではなく、「共感してくれる人と繋がり、一緒に楽しみたい」というモチベーションが背景にあります。
「オタ活」と聞くと、かつてはクローズドな環境で限られた人と楽しむもので、どちらかというとネガティブな印象を持つ方が多いかもしれません。
しかし、Z世代にとって「オタ活」はみんなが楽しむオープンでポジティブなものに位置づけられています。
彼らにとって「この人・このコンテンツを応援している」ということが、アイデンティティを表現するひとつの要素であり、同じ価値観を持つ人とのコミュニケーションを生み出すツールにもなっています。
Z世代のオタ活実態に見られる「布教」も、このようなオタ活の定義の変化が影響しており、自身が考える推しの魅力を一人で楽しむのではなく、「共感してくれる人と繋がり、一緒に楽しみたい」というモチベーションが背景にあります。
そして、共感してくれる同志の目に留まるための共感ポイントを生み出すためには「創作オタ活」は欠かせない存在です。
写真の撮り方や画像・動画の編集方法で表現されることが多いことから、自分のフィルターを通して推しの魅力を編集・カスタマイズするスキルも重視されており、ビジュアルコミュニケーションが主流となっているZ世代ならではの共感の生み方が見られます。
アンケート調査概要
①WEB調査
居住地:1都3県(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)
性別:女性
年齢:15~24歳
回答者数:420名(10代210名/20代210名)
※回答率(%)は小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位までを表示しているため、合計数値は必ずしも100%とはならない場合があります。
②SHIBUYA109 lab.による定性調査
グループインタビュー
対象者条件: 女子高校生3名、女子大生4名 2G 合計7名
※その他過去定性調査をもとに考察
ちょっと長いけど興味深い内容で
勉強になった!