アニメーション映画『ふりふら』島﨑信長さんが青春を語る!「僕もBUMP OF CHICKENさんの曲をバックに走りたい」【インタビュー後編】
Saturday 12:00
『ストロボ・エッジ』『アオハライド』の原作者・咲坂伊緒先生の最新作で、実写とアニメーションWで映画化された『思い、思われ、ふり、ふられ(ふりふら)』。
2020年9月18日(金)より公開中のアニメーション映画から、山本理央役・島﨑信長さんにインタビューをさせていただきました!
後編では、島﨑さんに語っていただいたご自身のくすりと笑える青春エピソードや、声優としての役作りについてたっぷりお届けします♪
※映画の内容に触れる記事となっておりますので、ネタバレにはご注意ください。
▼インタビュー前編はこちら
アニメーション映画『ふりふら』島﨑信長さんが語る共感ポイントとは?「みんなそれぞれすごく“いそう”なんです」【インタビュー前編】
自身の青春エピソードと恋愛観
もし学生に戻れるとしたら、映画内で描かれたシーンの中で体験してみたい場面はありますか?
吾妻に筋を通すために言いに行きたいですね。僕、あそこすごく好きなんですよ!吾妻も込みで好きで。
吾妻がもっと都合のいいキャラだったら理央に譲るんですよ。「お前の気持ちわかってたよ」って言って、身を引く。でもそうじゃないんですよ。「親友としてお前の気持ちはわかった、でも俺も気持ち伝えに行くから」っていうあの関係性が、良い意味で都合が良くなくて、男同士の友情っていいなあって思います。
正々堂々、対等の関係なんですよね。だからこそ今後もずっと後腐れなく仲がいいし、変なしこりも残さないんだろうなって思える。あの場で告白したっていいのに、1回吾妻に筋通さなきゃ!って突っ走っていく理央も好きだし、それを受け取って、「自分も自分でこの後気持ち伝えるから」っていう吾妻も好き。
後、文化祭の走ってる感じが好きですね。青春って走ってますよね(笑)。僕もあのBUMP OF CHICKENさんの曲をバックに走りたいですもん(笑)。BUMP OF CHICKENさんは僕らの世代のときからずっと大活躍されてますし、それこそ「天体観測」とかね、刺さりまくってる人が多いだろうから余計にね(笑)。あれは走れますね多分!限界を超えて走れますね!
そんなに距離はないからあんなに走る必要ないんですよ。
でもお互い1秒でも早く会いたいし気持ちを伝えたいから、あんなに一生懸命に転びそうになりながら息を切らして走って、でもいざ会ったら、すらすらと言葉は出てこなくて。でも気持ちは伝えたいから、不器用だけど言葉を紡いで…っていう、あの流れはもうすごく青春ですよね。あれはやってみたい!
男子校ご出身ということですが、男子校ならではの学生時代のエピソードを教えてください。
僕は吹奏楽部だったんですけど、吹奏楽部って結構体育会系なんですよ。肺活量もいるし、マーチングをやるにも体力がいるし、運動が必要なところがあって。
結構男子はそういうのが好きで、休日練習の日とかに運動部が休みで校庭が空いてたら、「よっしゃ午後はサッカーすっか!」みたいな感じで結構運動してたんですけど、そんな中で一時期うちの部の中で流行ったのがカバディなんです。
息が続く限り「カバディカバディ…」って言わなきゃいけないんですよ。カバディって言ってる間だけ攻撃出来る。狭いフィールドで動きながらカバディって言い続ければ、肺活量も鍛えられるっていう理由をこじつけてみんなでやってました。
カバディって、相手を自分の陣地に連れていこうとして引っ張り合ったりするんですよ。あれがもう、馬鹿でしたね〜みんな(笑)。本気でみんな「カバディカバディ!!」ってデカい声で叫びながら、「お前今息吸ったよね?」「吸ってないし。ちゃんと言ってたし」みたいなことを本気でやり合う。
男の子って特にゲームとか負けず嫌いですしね。本気でカバディをやるっていう経験、あんまりないと思うんですよ。あれは楽しかったですね。
後、マラソン大会が毎年あったんですけど、絶対脱ぐ奴がいるんですよ男子校は。賭けてもいい!マラソン大会のある男子校は100パー脱ぐ奴がいる!(笑)
とはいえ、みんなどこまで脱ぐか?って思うじゃないですか。昔のアルバムを図書室でみんなで見てたら、ほぼ全裸の写真とかあるんですよ。さすがにパンイチだったかな?多分写真にないけど、フルの奴もいただろ!みたいな感じで盛り上がったりもしましたね(笑)。
島﨑さんから見て彼女として付き合うなら、由奈と朱里どちらの女の子がタイプですか?
う〜ん、由奈ちゃんかなぁ。朱里ちゃんの方が上手くやっていけそうな気はするんですよ、考え方とかが大人に近いなと思うので。反面、由奈ちゃんはすごく真っ直ぐじゃないですか。
幼稚園の頃にヒーローになる!って言えてた子が、大人になるにつれ現実を見て、どんどんそういうことが言えなくなっていく…みたいなことがあると思うんですけど、そういう意味では由奈ちゃんって、大人になって社会に出れば出るほど失ってしまうものをとても強く持っている子だなと思うんですね。
なので、とっても眩しくて尊敬出来るなって思いが強いです。一緒にいればいろんな刺激があると思うし、もっと良いエネルギーを彼女からもらえるなぁと。後は純粋に、その真っ直ぐさが可愛らしいですよね。
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理想とする役作り
島﨑さんなりの役作りの方法はありますか?
人によると思うんですけど、基本的には僕は音ではあんまり作らないようにしていますね。まず、その人の芯や核みたいなものを自分の中で見つけて、台本や原作からその人や世界に関する情報をたくさん仕入れます。その上で自分の中で想像を広げて、その人の肉付けをしていく材料を集めます。
でもその集めた材料で変に肉付けすることは極力避けて、その場で感じた肉を付けていくという方法でやりたいなあと思い続けてきたんですけど、最近やっと、マイク前で考えてきたものをやるんじゃなくて、考えるべき情報が自分の中にある中で感じたことをやる、というのが出来てきました。
その人物になって普通にしゃべれるようになったらいいなっていうのが、僕の理想です。僕が好きなのは作品に寄り添うことなんですけど、作品によってやり方って変わると思うんですよ。全く同じ見た目・プロフィールのキャラがいたとしても、作風によって出てくるお芝居って変わると思うし。
アドリブを入れるか入れないか、入れるとしてもアニメ的な表現なのか、日常で実際に出てきてもおかしくない表現なのか。音から作る作品も当然ありますし、人間じゃないキャラクターなら、音的にどう聞こえるのかとかも考えます。子供向けの作品なのであれば、ダイナミックにわかりやすくやろうとか。
そういう塩梅って、1個1個の作品に真摯に向き合わないと全部同じやり方になっちゃうので、作品ごとに向き合っていくのはおもしろいなと感じますね。
演じていて楽しかったところを教えてください。
全般すごく楽しかったんですけど、いわゆるときめきシーンみたいなところも、特にこの作品に関しては盛ったりドラマチックにしたりせずに、わりと全部ストレートに演じさせてもらったんですよね。
ものにもよるんですけど、こういう非常に等身大でリアリティな作品だと、変に格好つけたりイイ声で言おうとしたりすると逆に格好悪くなるというか。現実世界でイイ声で格好よく言う人って、もはやおもしろキャラじゃないですか(笑)。
「もっと盛り上げて」とか「格好つけて」とかも言われなかったですし、単純に僕の好みの芝居が出来たってことで嬉しかったんですけど、特におもしろかったのは、やっぱり鈴木さんとの掛け合いですかね。
理央自身に大きく心の変化があったというのもそうですし、時が進むごとに2人の関係も変わっていくから、毎回新鮮な会話になる。「こう思ったから仲良くなれたのかな」「これがあったから関係が急に甘酸っぱくなったんだな」とか、想像が自分の中でも働いておもしろかったです。
鈴木さんが主演でアニメーションのアフレコをやるのが初めてというのもあって、だからこそ由奈ちゃんのように非常に真っ直ぐで、良い意味で技術的じゃない演技だなと思いました。技術は大事なんですけど、場合によっては形だけで中身が伴ってない、小手先のものになりがちなんですよね。
この作品は等身大のハートが大事で、そういう意味でも鈴木さんは真っ直ぐに言葉を紡いでくれるから、理央にも真っ直ぐに響くんです。
僕も自分でも思ってもないニュアンスが出てきたりとか、想定していたよりもおもしろいな、かわいいなって思う気持ちがこみ上げたりしたので、由奈ちゃんとのやりとりは特に全部楽しかったですね。
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『ふりふら』がもたらした縁
アフレコ現場の雰囲気はいかがでしたか?
アフレコってマイク前で演技するときだけじゃなくて、良いコミュニケーションを取って、良い関係性でリラックスした中で演技した方が、良いパフォーマンスが出るんです。
みんなとっても気遣い屋さんで、現場での雰囲気づくりに気を遣っている僕たち先輩3人だったので、自分で言うのも何なんですけど、鈴木さんに対してはみんな兄&姉のような感じでしたね(笑)。特に潘さんはお姉ちゃん感が強かったですね。
みんなとっても仲良くリラックスして、でも集中するところは集中して、というアットホームな現場でした。
共演者の方々との裏話やエピソードがあれば教えて下さい。
まさに今日、このインタビューを受ける前に、別現場で潘さんとすれ違ったんですよ。ちょうど試写を見た感想とかをずっと話したいと思ってたんですけど、そのときはその現場の作品のことしか考えていなかったので、すっかり忘れてて。
「お疲れ様でした」って現場を出てちょっと歩いた後に、「このあとふりふらじゃん!」てハッと思い出して、バッと現場に戻った僕の第一声が、「すみません!潘さん5分だけ貸してください!」だったんですけど(笑)。
潘さんはちょうど別の役者さんとお話されてて、そこに入って「貸してください!」っていう、なんかちょっとドラマとかアニメみたいなこの台詞に関して1いじり2いじりあったんですけども(笑)、無事2人で「試写見ましたよね?」って5分程お話をさせていただきました。
試写もソーシャルディスタンスに気を遣って行われたので、なかなか役者同士で感想を話せる時間がなかったんです。収録も人数ごとに区切ったり一緒のシーンの人のみで録ったりで、共演していてもなかなか一緒に収録出来ず、他の役者さんに会う機会も減ったりしていて。
そんな中で、この後『ふりふら』のことを話すっていう直前のタイミングでお会い出来たから、本当に嬉しかったです。
そのとき潘さんが話されていた中で、「こうなって欲しいなって思ったり行動したりすると、縁が巡ってきて本当にそういうことが起こるんだな」という話が印象的でした。僕もこの後『ふりふら』のインタビューだし、誰かと話したいなって思っていたらちょうど潘さんに会えたので、なんか縁を感じましたね。
咲坂先生とお話して、印象に残っていることはありますか?
咲坂先生には収録に来ていただいたこともありますし、壮馬くんと3人で対談させていただいたりもしましたね。僕の印象なんですけど、咲坂先生って、「アニメーションはアニメーションでよろしくお願いします」っていう立ち位置で関わられる方なのかなって思っていて。
「こうしてくださいね」っていう指示や要望ではなくて、お互い感想を言ったり、「理央も由奈ちゃんのこと意識しだしたら急に照れてさ〜!」「和臣ね〜一見分かりづらいんだよねあの子ね〜!」って、親戚の子の話をみんなでしてた感じでした(笑)。
先生はこんなにすごい作品をいっぱい生み出していながらも、いつもとても丁寧で真摯な印象を受ける方。そしてフラットな考え方でいろんな人生経験を積んでいるからこそ、こうしていいものを作り続けられるんだなと思いました。
最後に、島﨑さんイチオシのぜひ注目してほしいシーンを教えてください。
僕個人としては理央と吾妻のシーンが好きなんですけど、注目していただきたいのはやっぱり、BUMP OF CHICKENさんの「リボン」がかかる理央と由奈ちゃんのシーンですね!ぜひみなさんに見て、そしてグラビティを感じてほしいなと思います。
どの質問にもひとつひとつ真摯に、そして朗らかにお答えいただき、島﨑さんの温かい人柄がとってもよく伝わるインタビューでした♪
アニメーション映画『思い、思われ、ふり、ふられ』は、9月18日(金)より公開中です!
ぜひ、ピュアとリアルの間で揺れる等身大の高校生たちの青春と恋愛ストーリーを楽しんでくださいね!
作品概要
アニメーション映画『思い、思われ、ふり、ふられ』
【公開日】
2020年9月18日(金)
【スタッフ】
原作:咲坂伊緒「思い、思われ、ふり、ふられ」(集英社マーガレットコミックス刊)
監督:黒柳トシマサ
キャラクターデザイン:山下祐
脚本:吉田恵里香
美術監督:平間由香
色彩設計:安部なぎさ
CG ディレクター:野間裕介
撮影監督:岡﨑正春
編集:三嶋章紀
音楽:野見祐二
音響監督:長崎行男
アニメーション制作:A-1 Pictures
製作:アニメ映画「思い、思われ、ふり、ふられ」製作委員会
配給:東宝
【キャスト】
島﨑信長
斉藤壮馬
潘めぐみ
鈴木毬花
井上喜久子
田中秀幸
久川綾
井上和彦
堀江瞬
佐倉綾音 ほか
※敬称略
© 2020 アニメ映画「思い、思われ、ふり、ふられ」製作委員会
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