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鳥取県で“有害指定”された図書がAmazonで販売停止に、SNSでは「図書館戦争の世界」の声も

2022年 08月30日
Tuesday 18:18
鳥取県で“有害指定”された図書がAmazonで販売停止に、SNSでは「図書館戦争の世界」の声も

鳥取県の青少年健全育成条例によって有害図書指定された3冊の書籍が、前述した条例により2022年2月にAmazon内で販売停止されました。

 

全国に向けた販売を行うAmazonにも影響を及ぼす条例や、目を通せば内容に問題が無いと思われる書籍が指定され、大きな波紋を呼んでいます。

 

Point

  • 三才ブックスの書籍3冊がAmazonで販売停止
  • 鳥取県の青少年健全育成条例が背景に

  • 同社がAmazon&鳥取県とのやり取りを公開


 

 

鳥取県で有害図書指定された本がAmazonで販売停止に

(「三才ブックス」公式サイトより引用)

 

2022年2月に三才ブックスの書籍3冊「アリエナイ医学事典」「アリエナイ工作事典」「裏グッズカタログ2022」が、鳥取県にて有害図書指定されたためAmazonにて販売停止されたことが明らかになりました。

 

三才ブックスは、先日発売された月刊誌「ラジオライフ」10月号にて、Amazonと鳥取県とのやり取りが綴られた記事「鳥取県に有害図書指定の理由を聞いてみた」を掲載し、公式サイト上でも同記事のPDFを公開しています。

 

なお、Amazonにて販売停止された書籍は現在、三才ブックスの公式通販「三才ブックス オンラインショップ」にて購入可能とのことです。

 

 

事態が判明するまでの経緯は?

2022年2月に、「アリエナイ医学事典」の著者・亜留間次郎さんが同書籍がAmazonから消えたことに気付き、続けて他著者の「アリエナイ工作事典」「裏グッズカタログ2022」も同サイトにて表示されないことを確認。

 

三才ブックスがAmazonにメールで問い合わせたところ、鳥取県の条例に従った販売停止との回答があり事態が判明しました。

 

 

有害図書指定された3冊はどんな内容?

 

「アリエナイ医学事典」は「『コーラを飲むと骨が溶ける』説って?」といった身近なテーマなどから医学の黒歴史を紹介・解説した一冊です。

 

また「アリエナイ工作事典」の著書は、漫画「Dr.STONE」の科学監修を務めるくられ先生率いる武闘派理科集団・薬理凶室。科学知識を活用しながらフィクションの兵器を身近な素材で再現し、“ものを作る楽しさ”を紹介しています。

 

「裏グッズカタログ2022」では月刊「ラジオライフ」に掲載されたアイテムがまとめられており、三才ブックス曰く「どれも普通にネット通販で買えるモノ」とのこと。

 

また前述した「アリエナイ医学事典」について「前書きでニセ医学を批判し、50本の記事で知られざる医学史に光を当て、後書きで標準治療の重要さを述べていることから、多くの医療従事者からも支持されている」と、健全な成長を阻害するような内容ではないと主張しています。

 

 

SNSの反応

Twitterでは鳥取県の条例および有害図書指定に対し「劣悪というか卑劣」「本件が掲載された『ラジオライフ』ですら消すことも可能…」「鳥取県の文化的な自殺」といったコメントが寄せられていました。

 

また、行き過ぎた表現規制「メディア良化法」から表現の自由を守るべく立ち上がった図書館と図書隊員の奮闘を描いた有川ひろ先生の作品「図書館戦争」を思い浮かべたという声も。

 

さらに、今回販売停止になった3冊の読者から「アリエナイ医学事典はトンデモ医療を糾弾してる側」「科学・工学・工作の楽しさを伝えた一冊」など、有害図書指定に疑問を抱く声が寄せられています。

 

ほかにも、鳥取県が有害図書指定した書籍の一覧にBL漫画「南くんはその声に焦らされたい」「フェイクゴシップ」などが入っており「担当者の矮小な価値観で決めてない?」「ひどすぎる」といったコメントが見受けられました。

 

 

三才ブックスとAmazon・鳥取県のやり取り

Amazonとのやり取り

 

Amazonでは「東京都青少年の健全な育成に関する条例に定められた不健全図書は商品登録できません」といった商品登録のルールが設けられており、ルール内の不健全図書は「青少年の健全な育成を阻害するものとして東京都知事により指定された図書」と記載されています。

 

しかし、今回三才ブックスがAmazonから提示された販売停止の理由は“鳥取県の条例”。

 

不可解に思った三才ブックスが再びAmazonに質問したところ、鳥取県の条例改正により販売業者の所在地に関わらず通販での有害図書の販売が禁止になったことなどを根拠に説明があったとのことです。

 

また掲載禁止の根拠としてアダルト商品ではない同書に対し、「アダルトメディア商品に関するガイドライン」が提示されました。

 

三才ブックスではネットでの売上の9割がAmazonであり、同サイト上にて発売できないのはまさに死活問題。

 

18禁のアダルト商品として再掲載できないか」と問い合わせるも再掲載は認められず、電子版(Kindle)も配信停止になったとのことです。

 

 

なぜ鳥取県が制定した条例がAmazonにも及んだのか

今回、鳥取県が定めた有害図書指定は本来、自治体の管轄内でのみ効力を発揮するものですが、兵庫県宝塚市で2020年に起きたボーガンによる殺傷事件を受け、同県は県の青少年健全育成条例を改正していました。

 

改正の結果、県外の事業者が鳥取県内の青少年に対し、インターネット上のサイトなどを通じて有害な玩具刃物類・有害図書などの販売を条例の禁止対象としています。

 

 

鳥取県とのやり取り

2022年4月、三才ブックスは「鳥取県子育て・人財局子育て王国課」に有害図書を指定した際の審議会の議事録がインターネット上に公開されているかを問い合わせました。

 

担当部署からは、審議の内容ではなく会議の概要をまとめた「令和3年度第1回鳥取県青少年問題協議会有害図書類指定審査部会(会議概要)」のPDF1枚がメールで到着。

 

審議の内容が全く明らかになっておらず、再び書籍中のどの箇所が問題だったのか問い合わせると「明確な箇所ではなく、全体を通して総合的に判断しています」と回答があったとのことです。

 

 

三才ブックスが鳥取県に“議事録”を開示請求、有害と判断した理由は?

 

三才ブックスが販売停止となった3冊を有害図書に指定した際の“議事録”を開示請求したところ、会議概要と「公文書開示決定通知書」のPDF2枚が同社の元に届きました。

 

通知書の備考欄には「委員が図書類を閲覧し、全体の内容から審査を行っており、審査理由等について、委員の個別の発言は行われていない状況です」と記載されていたとのことです。

 

 

質問状を発送、有害指定までのプロセス・審査基準が明らかに

謎だらけの審議に対し、三才ブックスは2022年6月に「鳥取県地域づくり推進部県民参画協働課 県民の声担当」宛てに質問状を発送。

 

2週間後に届いた解答書によると、有害図書は担当部署の職員が「書店を巡回して、条件に該当するであろう本を購入」し、それを審査にかけていることが明らかになりました。

 

さらに、審査部会ではその本を有害図書に指定すべきか否かを記名投票で決定しており、今回指定された三才ブックスの本は3冊とも「指定すべき」に4票入り、知事に指定するよう求められたとのことです。

 

また、有害指定した理由について「アリエナイ医学事典」は条例13条第1項第1号(性的感情の刺激)・第2号(粗暴性&残虐性の誘発)・第3号(薬物の使用を助長)すべてに該当、「アリエナイ工作事典」と「裏グッズカタログ2022」は第1号・第2号に該当するため、健全な成長を阻害する恐れがあるといった内容が記載されていました。

 

 

本件に対する三才ブックスの主張・見解

今回の条例に対し三才ブックスは「この条例に従えば、世の中のマンガ・映画・小説など、あらゆる娯楽作品を否定してしまう恐れすらあります」とコメントしました。

 

また、「鳥取県内だけで勝手にやってる分には、最悪目をつぶるにしても、ネット通販にまで関わるとなると、鳥取県で本を売ること自体、もはやリスクといえます」と批判しています。

 

続けて、Amazonでの販売停止にまで至ったことに対し「作り手側には反論の機会を一切与えられないまま、一方的に『有害』だと決めつけ販売まで規制」するのは「まさしく公権力による“暴力”そのもの」ではないかと見解を述べていました。


 

外部リンク

三才ブックス

三才ブックス オンラインショップ

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