【オタトーーク・ゲスト回】国文学者と「忍たま乱太郎」を語ってみた!~忍者は実在した?~
Sunday 21:00
にじめん編集部がひたすらアニメへの愛を語る座談会企画「オタトーーク」に、なんとスペシャルゲストが登場します!
「江戸BL」の記事でもお世話になった、神戸学院大学 人文学部・中村健史准教授と共に「忍たま乱太郎」についてオタトーークしちゃいました。
「忍者って本当にいたの?」といった素朴な疑問からディープな質問までお答えいただきましたよ~~!「忍たま」ファン必見です!
「忍たま乱太郎」専門家とガッツリ語ってみた!
女児たちのハートはもちろん、大きなお友達からも根強い人気を誇る「忍たま乱太郎」についてオタトーークしてみました!
座談会メンバーはくどうと、今回初登場のうどん。
そして、本作の舞台・室町時代の和歌などを専門としている国文学者・中村健史准教授をゲストに交えて好き勝手にトークしちゃいます。
座談会メンバー紹介
普段は「あんスタ」のオタク。
2次元の初恋相手は「忍たま乱太郎」の土井先生と、生粋の「忍たま」オタクでもある。
ちなみに、現在の推しは食満留三郎。
「オタトーーク」初登場の新メンバー。
「忍たま」は小学生時代に観た程度。
神戸学院大学人文学部准教授
小学生時代に通っていた塾で「忍たま」の原作漫画に出会う。
「忍たま乱太郎」30周年!
皆さん…落ち着いて聞いて下さい…(ハァ…ハァ…)。
な、なんでしょう…!(ドキドキ…)
「忍たま乱太郎」が今年でアニメ開始から30周年なんです!!
どっひゃ~~~~~!!!もうそんなに経つんですね…時の流れ早ェ…。
まだ私たちが生まれてないのも驚きです。
おじさんはもう生まれてたよ!小学生だったよ!(内心年齢差にショックを受けている)
小さい頃、「忍たま」見てました?
見てた見てた。
見てましたよ~~!主要人物3人(乱太郎・きり丸・しんべヱ)と、土井先生がめっちゃ印象に残ってます。
乱太郎(らんたろう):CV高山みなみさん
忍術学園・一年は組の生徒。
本名は「猪名寺乱太郎(いなでららんたろう)」。
10歳。家は先祖代々由緒正しいヒラ忍者。
両親の期待をにない、一流の忍者を目指して、忍術学園に入学。
※画面左端から2番目
きり丸(きりまる):CV田中真弓さん
忍術学園・一年は組の生徒。
本名は「摂津のきり丸(せっつのきりまる)」。
戦で家を焼かれ家族をなくしたが、アルバイトをしながらたくましく生きている。
忍術学園の長期休みには、土井先生の家でお世話になっている。
※画面左端
しんべヱ(しんべえ):CV一龍斎貞友さん
忍術学園・一年は組の生徒。
本名は「福富しんべヱ(ふくとみしんべえ)」。
堺の豪商の息子。
おっとり、のんびり、くわえて大の食いしん坊。
※画面右端から2番目
土井半助(どい はんすけ):CV関俊彦さん
一年は組の教科担当教師。
火薬や兵法にくわしいが、カマボコやチクワなどの練り物にめっぽう弱い。
一年は組の忍たまたちにいつもヤキモキさせられ、胃がキリキリ。
忍たまからの信頼はあつく、きり丸とは家族のような深い絆で結ばれている。
火薬委員会顧問。
※画面右端
ニチャア…(土井先生が出てきて微笑む音)。私も当時は純粋な目で見てました…。
純粋な目???ぼくは当時通っていた塾で原作漫画も読んでて、「ああこれが今度アニメになるやつかー」と思った記憶が。それがこんな長寿人気アニメになるなんて…!
原作漫画も履修済み…!この中で1番「忍たま」読んでる説ありますね。
▼「忍たま乱太郎」アニメ放送30周年に関する記事はこちら▼
どこで道を踏み外した…?(沼にハマった?)
ちなみに、くどうさんはどこで「忍たま」沼にハマったんですか?
中学生の時にTwitterで流れてきた上級生のファンアートを見て…。
アッ…(察し)。
主要人物以外にもかっこいいキャラがいることに気付いてしまいましたね…。綾部喜八郎とか…。ここから毎週録画勢になっちゃいました。
ちなみに今の推しは誰ですか?
6年生の食満留三郎です!!食満先輩はしんべヱと同じ委員会なんですよ~。
食満留三郎(けま とめさぶろう):CV鈴木千尋さん
忍術学園・六年は組の生徒。
戦うのが大好きな武闘派。
「学園一忍者している」文次郎とはライバルで、いつもケンカばかりしている。
用具委員会委員長。
しんべヱの面倒を見てあげる先輩…その構図にキュンときちゃいました。
そうなんです!上級生はそのお兄ちゃん感が沼なんですよ…!うどんさん的には6年生だとどの先輩が好きですか?
(公式サイトを見るうどん)…善法寺伊作さんかな!!!
善法寺伊作(ぜんぽうじ いさく):CV置鮎龍太郎さん
忍術学園・六年は組の生徒。
穏やかで面倒見が良く、忍たまたちのお兄さんのような存在。
ケガ人を見ると放っておけない、優しい性格。薬草に詳しい。
保健委員会委員長。
アッッ!いいですねぇ~。保健委員なので乱太郎の面倒を見てあげてる不運なキャラです。
不運!!?!これもなんだか沼の予感がしますね…!
そもそも、忍者って存在したの…?
すみません…いきなりオタトーークが暴走してしまいましたが、そもそも室町時代に忍者って存在したんですか??
もちろん。有名な伊賀の服部半蔵だって実在の人物だしね(ちなみに東京の「半蔵門」という地名は彼の名前が由来)。忍者はほんとにいたんです。ただ、今の人がイメージするような忍者とは少し違うかも。
と言いますと?
現代人の考える忍者は「高度なスパイ技術と身体能力を持った諜報員」でしょう?要するに「ミッション:インポッシブル」のトム・クルーズみたいな。敵の陣地に忍び込んで機密情報を盗み出すとか、色仕掛けで相手を油断させて暗殺しちゃうとか。
室町時代の忍者にそういう面がまったくなかったわけではないだろうけれど、彼らがメインにしていたのはむしろ普通の武士が苦手とする特殊な戦闘を請け負うことなんです。
戦いを請け負うって、傭兵みたいな感じなんでしょうか。
そうです。甲賀衆のように同じ主君に仕え続けた忍者もいますが、伊賀衆なんかはお金で雇われて各地に行く。今でいう派遣社員だね。そして、たとえば夜、相手の陣地に忍び込んで火を付けるとか、相手方に気取られないようにひっそりと移動して奇襲を掛けるとか、そういう仕事を請け負うわけです。
普通の武士というのはチャンバラや馬に乗るのは得意でも、夜の闇に隠れて敵陣に忍び込むなんてことはできないから。
なるほど。当時はスパイ以外の仕事もニーズがあったんですね。
忍者に年齢制限はあったの?
ふと思ったのですが、忍者というかスパイのような、傭兵の様な人たちって年齢制限あるんですか?乱太郎は10歳で忍術学園に入学しているのですが。
今とちがって法律があるわけじゃないから、10歳でも忍者として活動しようと思えばできるだろうけど……、まあ、そんな低年齢では役に立たなかったんじゃないかな。一応、戦場での仕事だからねえ。
確かに、10歳の男の子を1人で敵の城に忍び込ませるなんて…想像しただけで危ない&心配になる(涙)。
出先でしくじると派遣元も責任を問われるから、その点でも人選は慎重になるだろうし。おそらく当時の成人年齢(15、6歳~)に達していないと、雇う大名たちも信用しなかったと思う。だから、そこまでの期間が忍者にとっては「修行」なんだろうね。
ということは、やっぱり忍術学園的なアレが……?(ワクワク)
じつはそこらあたりの細かいことはよく分かっていないんです。資料がないから。
ガビーーン…!!
ただ、室町時代には「仕事を教える学校」というものがまだほとんどないんです。月謝をもらって技術を教えるのではなくて、例えば「大工の子供が親に技術を習う」とか、「桶作りの職人(親方)のところに住み込んで技術を習う」とかが一般的。
!?じゃ、じゃあ、きり丸は学費を稼ぐ必要がない?!…土井先生が親方代わり的な…?(それはそれで良きかな…)
そうそう。住み込みのあいだは基本的に親方が生活の面倒を見てくれるから、
なるほど~。それだと忍術学園というより、忍術個人指導みたいな感じですね。現代では考えられない。
でも、相撲部屋とか京都の舞妓さんは今でもこんな感じでしょう? 中学校卒業したくらいの子が、住み込みで修業しながら力士になったり、舞妓になったりする。ご飯もお風呂もいっしょで、自由時間ほぼゼロみたいな。「忍たま」に出てくる忍術学園は「寮付きの学校」だけど、むしろ実際には「寮のなかで24時間、先生について修業する」みたいな感じだったんじゃないかな。
厳しそう…!!実際の忍者はあんなにゆるい生活送れてなかったでしょうね…。
忍術学園が実在したら通いたい?
…一応確認なんですが、忍術学園が実在したら通いたいですか…
通います!!!!!!!!
光の速さで答えましたね。
皆さんはどうですか?通いたいですか??
一旦オープンキャンパス行ってみたさあります!!
微妙に現実的ですね(笑)。
確かに、体力面が気になるかもです…。
ちなみに、何年生に編入したいですか?
…5年生って美味しくないですか…?
「忍たま乱太郎」5年生のキャスト陣
久々知兵助役:小田敏充さん
尾浜勘右衛門役:渋谷茂さん
不破雷蔵役:金丸淳一さん
はちや三郎役:山崎たくみさん
竹谷八左ヱ門役:東龍一さん
!?てっきり食満先輩のいる6年生かと予想していました。
5年生は後輩も先輩もいるんですよ…どちらも味わえちゃう最高の学年です…!
す、鋭い!
美味しいところを知り尽くしている…!ところで、先生はいかがですか?
今さら忍者にジョブチェンジはきついよー。でも、文学の先生として勤めるとかはありかも。室町時代の大名には連歌好きが多いんです。今の政治家のゴルフみたいなものだから、忍者が紛れこんで情報収集するのにちょうどいい。忍術学園にはぜひ連歌の授業を導入していただきたい!
2次元の世界に勤務とは……、なかなか斬新な発想ですね。
働くのは3次元だけで十分ですよ。…いや、でも推しキャラが上司になる絶好のチャンスでは!?!
受けたい忍術授業は?
無事に忍術学園に入学したとして…。この授業を受けてみたい!とかありますか??
連歌の授業、受けようよ!
(無視)
土井先生の火薬の授業受けたいです!!アニメの「講師は土井先生の段」で、くノ一教室での授業風景が描かれています。
土井先生の授業はマストですね!!!!!
「講師は土井先生の段」あらすじ
一年は組とくの一教室が、合同授業をすることになった。テーマは火薬について。
火薬委員会の顧問でもある土井先生は、なんとか合同授業を成功させたい。
そのためには、身だしなみにも気をつけたほうがいいと考えて……。
(公式Twitterより引用)
身だしなみを張り切りすぎた土井先生が、南蛮風の派手派手衣装を着てくるんです。くの一たちは「どした…?」みたいな反応で。
一緒に「どした…?」って言いてぇ…!!写真の山本シナ先生も懐かしすぎて死んだ。
実際に「〇〇の術!」みたいな術も存在していたのでしょうか?
いや、実際にはほとんどなかったんじゃないかな。忍術関係の古文書には「○○の術」っぽいものがいくつか出てくるんですが、それは大半が江戸時代になってから書かれたものです。もう忍者の出番なんかない平和な時代なんだけど、江戸時代はあらゆるものが世襲だから忍者の子孫も忍者を世襲している。そこで権威付けにこういう古文書を作ったみたいで、だいぶフィクションもまざっているらしい。
ふむふむ。
そこは「へむへむ」じゃないの? ちなみに忍者が爆弾の煙とともに姿を消すというのは、江戸時代に書かれた忍者ものの小説から広まったイメージだと思います。
ヘムヘム
学園長先生と大の仲良しの、ふしぎな忍犬。
学園長先生といつも一緒にいたいと目立たない鳴き声を猛特訓し、ヘムヘムと鳴けるようになった。
おそうじ、お茶だし、忍術のお手伝いまで、学園長先生の身の回りのことを何でもこなす。
へ、ヘムヘム…!ええっ、それじゃ土井先生の立場はどうなるんですか?
うーん、きっとそれ以外の火薬活用術も教えてるんでしょう。
沼にハマった?
あの~~…突然なんですが、4年生の綾部喜八郎さんイケメンすぎません…?
綾部喜八郎(あやべ きはちろう):CV石田彰さん
忍術学園・四年い組の生徒。
マイペースでひょうひょうとしている。
穴掘りが得意で、仕掛けワナの名人。
作法委員。
目の付け所が良いですね。4年生には自称アイドルが2人いますよ。そして綾部先輩は石田彰さんボイスです。
「忍たま乱太郎」4年生のキャスト陣
平滝夜叉丸役:高木渉さん
綾部喜八郎役:石田彰さん
田村三木ヱ門役:安達忍さん
浜守一郎役:梶裕貴さん
斉藤タカ丸役:浪川大輔さん
情報量多ッ!!もう一気に4年生好きになってきた…。というか梶裕貴さんや浪川大輔さんって、4年生の力の入れよう半端ないですね!
「忍たま」は声優豪華ですよ!平滝夜叉丸&田村三木ヱ門の2人が自称アイドルで、仲悪いんですよ…これがまたアツいわ~~!
…大分長い間オタトーークを繰り広げちゃいましたが、中村准教授の推しっていますか…??
推しというわけではないんだけど、この年齢になると山田伝蔵先生のことが気になってきました。
山田先生?!
山田伝蔵(やまだ でんぞう):CV大塚明夫さん
一年は組の実技担当教師。
火縄銃から変装まで忍術の腕は抜群で、女装に自信アリ。
授業はきびしいけれど、忍たまたちへの愛がいっぱいの父親みたいな先生。
忍術学園に単身赴任してすでに10年、なかなか家には帰らない。
教え子たちは全国で活躍している。
いやー、山田先生って口うるさいし、ちょっと怖がられてるけど、結局は忍たまや土井先生たちに信頼されてるでしょう。しかも忍者力高いし(女装を除く)。
山田伝子(やまだ でんこ)
山田伝蔵先生の女装した姿。
「山田先生」ではなく「伝子先生」と呼ばないと怒られる。
伝子先生可愛いじゃないですか伝子先生~~!!(ニヤニヤ)
オープニング映像に出てきた伝子先生、今でも覚えてるくらいインパクトありましたね。
…言うべきことを言う山田先生がいて、みんなのお兄さんみたいな土井先生がいて、お互い支え合いながら忍たまを教えてる。これって理想的な学校だなあと思って。山田先生みたいな「大人」がいる職場、最近少なくなってきたからねえ。
なるほど、理想の上司かもしれないですね。
「忍たま乱太郎」トークまとめ
いや~「忍たま」30周年という節目に、濃いトークできて楽しかったです!!
私も「忍たま」の新たな道が拓けた気分です…!
…ちなみになんですが、「忍たま」は各キャラが登場するたびに「あ!〇〇先輩だ!」って作中でめっちゃ丁寧に呼んでくれるので、途中から見てもわかりやすいですよ!
これは見るしかねぇ!!!
「忍たま」って、学校で嫌なことがあったとき、「忍術学園みたいな学校があったらいいのになあ」って思いながら見て、ちょっとだけ元気をもらうアニメだよね。これからもずっと続いてほしいなあ。
ゲストの中村准教授、今回は本当にありがとうございました!!
ありがとうございました!またお待ちしております!!
ありがとうございます。また呼んで!
中村健史准教授 プロフィール
神戸学院大学人文学部准教授
1980年、高知県生まれ。
専門は国文学、特に鎌倉・室町時代の和歌。
著書に「雪を聴く」(和泉書院、2021年)など。
大学の「地域研究センター」では明石に関する文学作品についても研究。
私生活では二児の父。
今回、記事を作成するにあたり「アイコンのお写真どうしますか?」と聞かれ、娘の描いた「お父さんの絵」を送ってみました。
▼中村健史准教授に取材した「江戸BL」の記事はこちら▼
©尼子騒兵衛・NHK・NEP