「売れっ子漫画家×うつ病漫画家」最新話で納得できた…「ルックバック」との対比に注目
Tuesday 13:06
2021年5月に読者によるプレゼンツイートが注目を集め話題を呼んだ「売れっ子漫画家×うつ病漫画家」の最新10話が更新されました。
その内容が、最近公開された藤本タツキ先生の新作読み切り「ルックバック」でのモヤつきを解消してくれたと話題になり、改めて「売れっ子漫画家×うつ病漫画家」の関連ワードがTwitterでトレンド入りしています。
Point
- 「8日間で127P」という衝撃の筆スピードで注目を集めた作品
最新話で、絵で伝える作品・言葉で伝える作品について解説
「ルックバック」でのモヤつきを言語化してくれたと話題に
「ルックバック」との対比が話題に
ピンとこなかった人も多かった
Twitterで「ルックバック」は、「傑作です。この作品をこの日に公開した意味も、わかる人にはわかると思います。」「特に絵や漫画を描いてる人で、この作品が刺さらない人はいないんじゃないかと。」など、読者からはもちろん多くの漫画家からも大絶賛されていました。
ですが、読んだ人の中には「内容が理解しきれない」「時間軸がわからない」という感想を抱く人も多かったようです。
「ルックバック」はセリフが1つもないページが多く登場。
また、現状を説明するようなセリフも多くない上に、珍しいページ構成がされているため、ある程度知識がある人でないと、なかなか1度ですべての要素を理解するのは難しいという意見も見られました。
「難しい」と感じた人は、世間で大絶賛されている作品に対して、ピンとこなかった・イマイチ乗れないなと感じたのかもしれません。
対比とは?
「売れっ子漫画家×うつ病漫画家」の最新10話では、売れっ子漫画家・望海が鬱病漫画家・古印にネームのチェックを依頼。
そこで一通りの指摘をしたあと、自身の作品は説明が多かったり台詞が長かったりして野暮ったいという望海に対して、古印は以下のようなセリフを望海に語ります。
「私みたいな人間が評価するのは映画的な…言葉であまり説明しないタイプの作品だと思いますが 言葉で説明してもらわないと理解できない人は大勢います」
「持って生まれた特性や何に慣れ親しんでいるのかの違いでそこに優劣はありません」
「絵で理解する特性を持つ私達は汲み取れる意味が多い絵・映像の表現を巧みと評価しますが
言葉で理解する特性を持ってる人からしたら評価する意味が理解できないかも知れません」「逆にその人達が評価するものを私達は理解する能力がないかも知れない」
(10話より一部抜粋)
「ルックバック」にピンとこなかった人は、これらのやりとりを読んで「モヤつきを言語化してくれた」「こういう違いを感じていたんだ」と、腑に落ちたようです。
【Twitterでの感想】
「込められた情報を解説してた漫画家さん居ましたが、そこまで読み取れるのそこまで深く読むマニア系が読み込んで辿り着く場所だからサブスクで大量の漫画をタダ読みする層には気づかれないポイントが多かった。」
「漫画を読むのに理解する道具が違うだけでそこに優劣はないというの、すごくしっくりきた。」
「大御所が絶賛してるのに、私を始め一部の人にはピンとこなかったその落差の理由が、P31から、古印先生によってすべて言語化されて説明されてるみたいで感動しました・・・」
「あまりにも件の作品を大御所クリエイターさん達が絶賛するから、「いいと思えなかった私には、才能がないのでは?」ってなった人、意外に多いのかもしれませんね。」
ルックバック
あらすじ
学生新聞で4コマ漫画を連載している小学4年生の藤野。クラスメートからは絶賛を受けていたが、ある日、不登校の同級生・京本の4コマを載せたいと先生から告げられるが…!?
「売れっ子漫画家×うつ病漫画家」
ツイートで紹介されているのは、Pixivで公開されている「売れっ子漫画家×うつ病漫画家」(溺 英恵さん)。
第一話「虚・プライド」では、作品について「手の届かない範囲の好きな人たちが死んだり消えたりするたびに起こるスパダリになりたい気持ちから生まれた話。」と説明しています。
めちゃくちゃ簡単に説明すると、色々あって漫画を描けなくなり体調を壊してゴミ屋敷で暮らしていたところを救い出されたうつ病漫画家・古印葵と、古印のファンでゴミ屋敷から救い出し自宅に住まわせている売れっ子漫画家・望海可純のお話です。
現在10話まで公開されているので、各話あらすじを紹介します。
第一話「虚・プライド」
古印葵が2年ぶりに漫画を描いた。
その漫画の最初の読者は一緒に暮らしている売れっ子漫画家だった。
第2話「後悔・プライド」
私 福田矢晴(古印葵)は他人の家のベッドと毛布と買ってもらった部屋着を己のションベンで濡らし家主である売れっ子漫画家・望海可純(上園純)にションベンの匂いを嗅がせてそれら全てを洗わせているあと自分も洗われた死
第3話「攻撃性・マインド」
鬱病アル中元漫画家古印葵こと私福田矢晴(28)は前作を投げ出した謝罪のために来た編集部で激ヤバ人間にエンカウントしてしまい自著へ罵詈雑言をかけられその現場を何柄なのか分からないジャケットを着た売れっ子漫画家・望海可純に見られた上に声をかけられた死
第4話「荼毘・アルコール」
鬱病アル中元漫画家古印葵こと私福田矢晴は編集部で売れっ子漫画家・望海可純と会い助けられて褒められたにもかかわらず自尊心がズタズタになり死んだがなぜか一緒に散歩している
第5話「上薗純、曰く その①」
上薗純サイド
第6話「上薗純の視点 その②」
上薗純サイド
第7話「誘惑・ユートピア」
アル中鬱病元漫画家古印葵こと福田矢晴は売れっ子漫画家望海可純こと上薗純に酒と飯を奢ってもらうも泥酔し自宅まで運ばれゴミ屋敷を掃除され一緒に住もうと持ちかけられあまりの圧に腰を抜か死ている
第8話「零・クッション」
アル中鬱病元漫画家古印葵こと私福田矢晴は同居を持ちかけてきた売れっ子漫画家望海可純こと上薗純の家の風呂が私の借りてる部屋くらい広い死
第9話「再現・クリエイト」
アル中鬱病元漫画家古印葵こと私福田矢晴は売れっ子漫画家望海可純こと上薗純の家へなんだかんだで引っ越しし最初の1日目を終えようとしていた
引っ越し作業はすべて業者にしてもらったにも関わらず1番働いていない私は疲れて夕食後に動けなくなっていた死
第10話「経験・アンデッド」
アル中鬱病元漫画家古印葵こと私福田矢晴は売れっ子漫画家望海可純こと上薗純の家に居候することになったが初日から劣等感に苛まれ病状が悪化した
「売れっ子漫画家×うつ病漫画家」プレゼンのツイート
すんごいから読んで……おええ腹の中身がぜんぶ出そう……でも最ッッッ高……続きをくれ……マジで商業ではない……?pixivだけ……?嘘だこれは野生のプロだ……というのはともかく読んで……
売れっ子漫画家×うつ病漫画家 第一話「虚・プライド」 | 溺 英恵 #pixiv https://t.co/rxWxda6JJN
— 霜月旬 (@Jyunka) May 3, 2021
投稿主は霜月旬さん。
野生のプロというパワーワードと、本人の混乱・勢いがあふれたプレゼンツイートで、15時間くらいの間に1.4万RT&2.5万いいねがついています。
霜月さんは、「こんな巧みなネームを切れる素人はいないから絶対プロの方だろうと思う」
「安心して読み始めたらもらい鬱になりそうなリアリティ詰め込まれてるのにやっぱりその場でカタルシスぶち込んで毎回ちゃんと安心させてくる……技…」と、技術面での感想もツイートしてくれているので、俄然作品に興味が湧きます!
読者の感想
・ぐぐぐっと引き込まれてあっという間に読んでしまいました。なんて素敵な作品なんだ…。
・とんでもねぇ(すきだ)
・凄すぎる作品に出会ってしまった…これはお金払って読むべき…払わせてください…
・ッカァ〜溺さん天才ですか?いや、天才と呼ぶのも失礼な気がする。本当にこれは努力の賜物です
・この漫画に課金する方法が欲しい。
・読んでいると胃が痛くて目の奥も痛くてギリギリとして、でも首の後ろがムズムズしてゾクゾクします…!ここから1話に繋がると思うと転がり回りたくなります。
・スパダリの目の前でゴキブリさながらの動きに感激しました、好きすぎる。
(第4話「荼毘・アルコール」コメント引用)
読者が増えるにつれて、様々な視点での感想がたくさんツイートされて盛り上がっているので「こんな見方があるのか」「この意見共感できる!」など作品の理解を深める助けになるかもしれません!
こっちも辛くなってしまう…
現状あまり感じないBL的要素は今後強まるのかな…!